「マインドフルネス」という言葉はここ10年で日本に浸透してきましたが、一体どういうものなの?と、理解や体感ができていない方も多いと思います。
今回はマインドフルネス・ライフコーチである麻美さんにマインドフルネスはどういうものなのかと、そこにたどり着くまでのプロセスを伺いました。
今、ストレスを抱えた方の心に響くメッセージになると思います。ぜひ参考にしてください。
【マインドフルネス・ライフコーチ】麻美さんとは?
麻美さんはオーストラリア在住のマインドフルネス・ライフコーチです。
麻美さんの実績はこちら↓
- マインドフルネス瞑想協会認定講師(吉田マサオ 師事)
- 骨盤底筋トレーニングヨガ講師(高尾美穂 師事)
- 陰ヨガ講師
- RYS200HR
- セルフコンパッション入門講座 修了
- MSC(Mindfulness Self- Compassion Program)10週間終了
- 日本こころカウンセリング協会カウンセリング・ヒプノセラピスト養成講座 修了
- セルフメディコ協会健康ライフコーチ
- まじ文アカデミー0期生 修了
数々の実績をお持ちですが、今に至るまでに多くの気づきと学びを得てきたそうです。
今回は麻美さんのこれまでをお伺いしました。
学びの始まりは「お父さんの気持ちを理解したい」
麻美さんははじめからヨガの世界に身を置いたわけではなく、スタートは苦しんでいたお父さんの気持ちを理解したいという想いでした。
どんな人にもはじまりの状態があるとは思いますが、そこから一歩踏み出すには勇気と気力と情熱が必要です。麻美さんの「理解したい」という想いを感じました。
心の学びのきっかけ
定年間際からお父さんの心がぐらぐら揺れはじめ、お酒の量が増えアルコール依存症になったそうです。しばらくすると進学のため麻美さんは家を出ましたが、その後お母さんと弟さんは大変な想いをしながらお父さんのお世話をされました。
実家に帰るといつも協力してくれる弟さんにとても気を遣うお母さん。
「酒を飲むのはお前のせいだ」というお父さん。
そんなお父さんを許せない自分。
疎外感と怒りと罪悪感で麻美さんもとても苦しみました。
お父さんも内観療法で自分の心と向き合いましたが、アルコール依存症の根本治療には至りませんでした。
「でも家族にも医者にもお酒を飲むことを責められお父さんは苦しかったはず」そう感じた麻美さんは心の学びをスタートさせたそうです。
マインドフルネスにたどり着く
麻美さん自身もまた、友達の言葉をきっかけに拒食症と過食症に苦しみ、なにか治療のきっかけになればと思い受けたヒプノセラピーで、お父さんとの過去にまつわる「許せない自分がきらい」という気づきを得ました。
その後カウンセリングやコーチングも学びましたが、その時だけの対話ではなく自分で癒していくセルフケアに着目しはじめ、過去の私や未来の私を見るよりも「今ここ」を大切にするマインドフルネスにたどり着いたそうです。
学びのマラソン
マインドフルネスに出会ってからも麻美さんの学びは続きます。
マインドフルネスを学び始めてからは瞑想会に参加し、講師の資格を取り、着々と道を進んできたのです。もちろんマインドフルネスでその都度自分と向き合いながらの前進で新たな気づきを得ました。
マインドフルネスはツール
講師養成講座の先生が陰ヨガをされてたこともあり、陰ヨガの学びもスタートさせました。落ち着いて呼吸し、体と心を眺めていく様はまさに麻美さんが求めていたセルフケアでした。
最後のパズルのピースがはまったような感覚だったそうです。
ご自身で講座を開催したり、ハピシェアに出会いさらにセミナーを開催したりする中で、みんな心に何かを抱えていることを目の当たりにしました。
あらためてマインドフルネスは目的ではなくツールであって、これを日々自分自身で取り入れて心をケアしていく「セルフケア」がとても大事だとあらためて感じたそうです。
麻美さんが心の学びを進める途中でお父さんは亡くなられたそうですが、2年前天国からお父さんに「もう苦しまなくていいよ」とメッセージを感じることがあり、そこであらためてお父さんに感謝できたそうです。
お父さんとのことがなければ自分はここまで心について学ぶことはなかったし、自分とも向き合うことはなかったと、お父さんとの過去を受け入れられたそうです。
マインドフルネスとセルフケア
麻美さんとお母さんで家族の想い出の場所にでかけた際には、花を見たり美しい景色に触れたりしながら家族やお父さんとの想い出を語り、マインドフルネスないい時間が過ごせたそうです。
しかし、大変な想いをしたお母さんはまだまだ許せないことがたくさんあるようでした。
そんな風になかなか怒りから抜け出せない人には、どう接していくのか聞いてみました。
今麻美さんは、フランスで介護職向けに開発されたユマニチュードを勉強中だそうです。ユマニチュードはフランスの二人の体育学の専門家イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発したケアの技法です。(https://jhuma.org/humanitude/)
その中で怒りを感じた人の怒りをおさえつけるのではなく、怒りのプロセスの知識を持ち気持ちを察しながら言語化してあげて、かつ自分の気持ちを伝え続けることを学び、心がけているそうです。
瞑想について
筆者は普段占い師なので、人の悩みについてよくお話を伺っていますが、悩みの深い方はどうしても体が硬くなり呼吸も浅くなります。そんな方には瞑想や深呼吸をおすすめするのですが、習慣化するのが難しいことでもあります。
麻美さんが普段瞑想をどのように伝えているか聞いてみました。
麻美さんは次のように伝えているそうです。
「瞑想しなくていいよ。寝る前、起きた時に布団の中でおなかに手をあてて呼吸を感じてみようよ」
「例えそれができなくても、自分にバツをつけないでまた明日からやればいい。短い時間でもコツコツ続けていくことで、自分と向き合える時間が増えていきます。今自分の中で何が起きてるのか。嬉しいのか悲しいのか何を感じているのか、無意識から意識化することで自分に対してケアできる。それがセルフケアだと思いますし、それを積み重ねると自分に自信がついてくる」と麻美さんは仰いました。
ハピシェアのマインドフルネス部とは
ハピシェアでは麻美さんが中心となったマインドフルネス部があります。
月2回のグループセッションでマインドフルネスについて知識を深めていくものです。筆者も気になっているマインドフルネス部についてお伺いしました。
立ち上げのきっかけ
「以前マインドフルネスのセミナーを開催した時に多くの方に集まっていただいたけど、やはり「その時だけ」スッキリして満足するだけではなかなか自分と向き合うことにはならないので、しっかりと自分と向き合うことを伝えていきたいという想いからマインドフルネス部がスタートしました」と麻美さんはお話しされていました。
月2回のセッションでは普段忙しくてなかなかすることのできないジャーナリングで自分と向き合い、テーマを決めて勉強もします。今後は瞑想会や、12月には「今年あった嫌なこととそこから何を学んだか」、1月は「2025年夢ノート」を作成する予定だそうです。
また麻美さんはこうも仰っていました。
「ジャーナリングは書くごとに自分でも気づかなかった想いが文字になり、自分と向き合うにはぴったりな方法ですが、1人で続けるにはくじけてしまう方も多いです。そんな方はグループでしっかり時間を決めてのぞむと継続しやすいです」
またグループでシェアをする時間を設けているので、そこで色んな人の価値観に触れることが自分の思い込みをはずすきっかけになるかもしれません。
瞑想から繋がる心
今年初めてリアルでの瞑想会を開催した麻美さん。
瞑想は1人でのワークで、ただ自分を感じることだけど、同じ場を共有することで周囲の人たちと繋がることができる。
集合意識で繋がることで、人への愛や理解や許しに繋がっていくことを実感できたそうです。
ストレスを抱えてる人に
麻美さんにストレスを抱えている人へのメッセージを伺いました。
「自分にとってのストレスは何か?ジャーナリングしてみてください。
体が悲鳴をあげてるのか、心が悲鳴をあげてるのかどんどん自分を深堀していく。書けなければ1分間何もしない静かな時間を持ってからあらためて自分にとってのストレスについて書いてみてください。
文字にすることで対話が進み、その次のステップに進むことができます。モヤモヤの正体を暴くことがストレスフリーに繋がります」
今後について
これまで自分が学んできたことを文章にしてもっと多くの人に届けたいと、麻美さんはライティングを学び始めたそうです。それをブログという形にしていくこととマインドフルネス部のYouTubeを始動させることが今後の目標だそうです。
マインドフルネスを多くの人に伝えていきたいが、そもそもどうしてマインドフルネスが必要なのか?というところから伝えていくことも必要だと感じていて、そのためには自分のエネルギーを高めていくこと、学んでいくことも続けていくとお話しされていました。
終わりに
学びをやめない、自分を見つめながらそれをどう人に伝えていくかということに一生懸命な麻美さんの姿が印象的でした。筆者も人の心とお話する仕事なので共感すること、勉強になることが多くありました。
最後に麻美さんがお話しされたことです。
「オーストラリアだと自分の時間が持ちやすいけど、日本に帰ってくると振り回される感じがする」
「日本では便利であることが多くお金があればそのサービスを利用し、外に目を向けることが多くなるが、オーストラリアではその逆で、外に求めることが少ないから自分でどうにかしようとする。つまり『今あるもので』はまさにマインドフルネスな考え方になる」
「あとはオーストラリアの国民性が、なんとかなるさなのでストレスを抱えにくい」
便利なものが増え、選択肢が増えたからこそ自分に矢印を向けて、自分は何を感じているのかを認識することが必要なのだと考えさせられる言葉でした。